終末期医療、本人の意思は

 望まぬ治療にも高額批評。「年金頼み」延命も止める家族。明確な判断、早めの準備重要。治療内容、家族にも。
 誰もに必ず「最期」が訪れる。内閣府が2012年に実施した調査で、治る見込みがないときに延命治療を望まない高齢者は9割超。その時にどんな治療を受けたいか家族と話し合ったことがあるかを尋ねた別の調査では、「詳しく話し合っている」と答えたのは2・8%にとどまった。

最期の意思をきちんと伝えら得るとは限らない。突然倒れるかもしれないし、認知症を患うかもしれない。日本は国民皆保険制度を通じ、比較的安い医療費で高度医療も享受でき、世界最高レベルの長寿を実現した。

そのすき間に、本人の望まない最期もある。特養で意識がはっきりしないまま長期間、管につながれたお年寄りを見た。救急現場で「みとり」に近い患者の手当に懸命な医者もいた。

彼らが「誰のためになっているのか」と漏らしたのも聞いた。どう最期を迎えるべきかは一律に論じられない。だが、自分がどんな最期を迎えたいか。自ら考え、家族と話し合うことはできるはずだ。