生命を支える「臓器同士の会話」?

          血管=情報回路

 直径が2〜3センチメートルもある大動脈から、髪の毛よりも細い毛細血管まで、前進に網の目のように張り巡らされた血管は、すべてを1本につなげると、その全長は10万キロメートルにもなるといわれている。つまり、人の体の中には、地球を2周半する長さの血管が収まっているのだ。

   メッセージを運ぶ謎の物体エクソソーム

 細胞から外に分泌されるカプセル状の顆粒で「細胞外小胞」と呼ばれる物質がある。これは直径わずか1万分の1ミリメートルほどで、電子顕微鏡を使ってようやく見られるほどのサイズだ。この細胞外小胞の一種である「エクソソーム」という物体の中にメッセージは潜んでいる。

 エクソソームは多くの種類の細胞から分泌され、血液、唾液、尿などの体液中に存在している。発見された当初は、特に役割を持たない、“ゴミのようなもの”だと考えられていた。

 しかし近年、エクソソーム内に含まれる物質の働きの研究が進み、エクソソームも細胞同士がコミュニケーションを行うために意図的に放出している、非常に重要な情報伝達ツールであることが分かってきた。