スピリチュアリスト

 霊や神と対話できる「拝み屋」「イタコ」と呼ばれる霊媒師なら昔からいたんじゃないか、という人もいるだろう。

しかし、従来の霊媒師たちは一般社会からはどこか“特殊な人”という目で見られ、敬われたり畏れられたりはしながらも、“怪しい人”“いかがわしい人”として敬遠されたりしていたはずだ。

 ところが、現代のスピリチュアリストたちの多くは、そういうダークなイメージはほとんど持っていない。
たとえば呼び方ひとつにしても、いまのスピリチュアル・ブームを象徴する存在である江原啓之氏は、自らを「スピリチュアル・カウンセラー」と名乗っている。
また、「宇宙生命」「宇宙の波動」を取り入れた人生指南書を多く執筆し、若い女性を中心に人気を呼んでいる佳川奈未氏の肩書は、「リフレミングセラピスト」。
「拝み屋さん」といったどこかいかがわしさを感じさせる名称とはかなり違う。

「霊と話せる」と聞けば警戒してしまう人も、「カウンセラー」や「セラピスト」に会うのだと思えばそれほど怪しさを感じなくてすむはずだ。

 いや、実際には もう「怪しいか、怪しくないか」といった次元の話ではない。前述したスピリチュアル・カウンセラー江原啓之氏の場合、その著書の累計発行部数は七百万部超。
タレントの美輪明弘さんや国分太一氏と共演するテレビ番組『オーラの泉』は、午後十一時十五分からという遅い時間の放送にもかかわらず、視聴率が毎回一〇%を超えているが、これはこの時間としては驚異的な数字だと言われている。