ゼロポイントフィールド2

 今日まで、生物学と物理学は、現代物理学の父であるアイザック・ニュートンが採用した世界観に忠実なしもべだった。

 私たちの世界と、その世界における私たちの位置について信じられていることはすべて、一七世紀に定式化された考えに起源がある。
 そして、それは今でもなお現代科学の基本骨格になっているーこの宇宙のすべての要素は分割可能で、たがいに分離した。
 それぞれ完全に独立した存在だとする理論である。

 これらの理論は、その本質に置いて、分け隔てられたものの集まりという世界観を創りあげた。
 ニュートンは、個々の物質粒子が、空間と時間のなかで一定の法則にしたがって運動する物質世界―機械としての宇宙―を記述した。
 ニュートンがその運動法則を定式化する以前、フランスの哲学者ルネ・デカルトは、当時にあっては革命的な考えに想い到っていた。

 私たちー私たちのこころで示される存在―は、そのからだを構成する自動力のない非生物物質―こころとは別の能率のよい機械―とは分離される、という考えである。この世は、分離された小さな物体の集まりによって構成されており、そのふるまいは予測可能だった。こうした世界からもっとも遠くに位置するのが人間である。

 私たちは世界の外側にいて、この世界を覗きこんでいた。自分のからだでさえ、本物の私たちとは分離された別のものであって、観察をしている実体は意識をもった知性だと考えられた。