カーツワイルⅡ
ナノボットは、加齢のプロセスを食い止め、加齢そのものを覆すこともできると思います。わたしはある著書のなかで、人間の延命に関して3つの道すじについて述べました。
ひとつめの道は、わたしたちが今すぐにでもできることです。たとえば、細胞皮膜のなかにはホスファチジルコリンと呼ばれる特殊な物体がありますが、加齢とともにそれは失われていきます。
子どもたちの細胞皮膜の70パーセントはホスファチジルコリンですが、老齢の人びとではそれが10パーセントにまで下がります。しかし、あなたはホスファチジルコリンを摂取することによって、それを覆すことができます。
そして三つ目の道が、ナノテクノロジーとナノボットです。これを用いれば、あらゆる疾病や加齢の過程を食い止め、覆すことができるようになるでしょう。いわば無限の延命を手にする可能性があるのです。
ロボットを利用した赤血球は、生物学的な赤血球の1000倍もの酸素を運ぶことができます。そして、それは人間の身体にとってよいものです。
神経細胞の隅々まで酸素が行きわたり、心臓の鼓動に常時頼らなくてもすみます。心臓の鼓動が止まったときでも、何時間も生きていられるようになるでしょう。ロボットの赤血球をもてば、人間はこれまでよりもはるかに健康的になり、運動能力も格段に高まるでしょう。
しかも、それはステロイドのような身体に害を及ぼすものではなく、身体によいものなのです。
人間の欲求にあったテクノロジーは必ず普及する
人間性を変えてはならないと考える人がいることは理解しています。トマトひとつをとっても、自然のままでなくてはいけない、あらゆるものはあるがままにしておかなくてはいけない、という意見はよく聞かれます。
しかしながら、テクノロジーの進化から得られる恩恵がますます圧倒的なものになり、進化のスピードがどんどん速くなっているなかで、新しい技術に抵抗しつづけることは非常にむずかしいと思います。
携帯電話を使わない人は、おそらく携帯電話を日常混乱させるだけの役に立たないものと考えているのだと思いますが、しかし今日、そういう人はきわめて少数になっています。