大人にも成長ホルモンを
分泌不全症
多様な働き
下垂体が分泌する成長ホルモンは、小児期に骨や軟骨に作用して成長を促し、思春期の性成熟にも重要な働きをする。
実際、分泌のピークは10代後半だが、成人以降も量は減りながらも出続け、筋肉や肝臓、腎臓、リンパ球などさまざまな臓器や組織に働き、骨や筋肉、脂肪などの割合やエネルギー代謝、血中脂質などの維持や体温調節に重要な役割を果たす。
不足すると、疲れやすさや集中力、気力、性欲の低下、さらにうつ状態などの自覚症状が現れ、生活に支障を来す。
また内臓脂肪の増加や骨量、筋肉量の低下なども起き、下垂体機能低下症を伴うと心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞で
☆成長ホルモン産生遺伝子 エネルギー入れる
成人期において成長ホルモンの分泌不全が発生した場合、様々な代謝異常が起こり、体脂肪が増加し筋肉量・骨量が減少するなど体組成の異常が発生します。
それに伴い、体力・運動能力の低下やエネルギーの低下など患者さんのQOLの低下をもたらします。
また、成人成長ホルモン分泌不全症は内臓脂肪型肥満をもたらすため、メタボリックシンドロームと類似した症状を呈し、高脂血症、高血圧、糖尿病、肝障害を将来的に発症する率が健常な人に比べて高くなります。
動脈硬化も起こりやすく、脳梗塞や心筋梗塞などの心血管系疾患の発症率も比較的高いという報告があります。
「成人成長ホルモン分泌不全症(成人GHD)」という病名だった。
脳下垂体から分泌されるGHは、骨や筋肉を発達させるなど、小児期や思春期に重要な役割をする。子どもの頃に分泌が少ないと、低身長になってしまうこともある。
だが、GHの役割は単に子どもの身長を伸ばすだけではない。たとえば、ゴルフの杉原輝雄プロらが採り入れている「加圧トレーニング」にも、GHは深く関係している。
そのため、血流が制限されて乳酸などが蓄積し、GHの分泌が促される。
加圧トレ中のGHの血中濃度は安静時の訳300倍に達することもあり、その結果、短時間かつ低負荷で筋力増強やダイエットの効果が得られるのだという。
東京大学大学院総合文化研究科の石井直方教授(筋生理学)は、こう話す。
「成長ホルモンには、たんぱく質を合成して骨や筋肉を成長させるとともに、体脂肪の分解を促すという働きもあるのです。たとえ成人になっても必要がないわけではありません」
GHの分泌量は思春期に最も多くなり、その後は年齢を重ねるごとに減っていく。20代の血中GH濃度は1ミリリットル中、4ナノグラム程度。50代ではその4分の1になるが、ゼロにはならない。
しかし、GHの分泌が極端に悪くなってしまうと、➀体脂肪の増加、筋力の低下、皮膚の乾燥、体毛の柔軟化などの身体的所見②体がだるい、集中力が続かない。気力が出ない、性欲が出ないなどの自覚症状が表れる。
それが成人GHDだ。重症の場合には、内臓脂肪型肥満と血中脂質の高さが相まって、心筋梗塞などに至る可能性もある。
こうしてみると、糖尿病や心臓病などが起こりやすくなるといわれる「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)」と共通する点が多い。
成人成長ホルモン分泌不全症をチェック
こんな症状、思い当たりませんか?
・同年代の人と一緒に歩いていて遅れる。
・風邪が長引く。微熱でも寝込む
・生活習慣には気をつけているのに、最近腹回りが太った
・気分が落ち込んだり、情緒不安定になりやすい
・他の人に比べて疲れやすく、仕事などのペースについていけない
・肌や爪の乾燥がひどく、保湿クリームが手放せない
一つでも当てはまる場合、可能性あり
…さらに、過去の病歴を確認!
・低身長の治療を受けていた
・脳腫瘍を思ったことがある
・頭部の手術を受けたことがある
病歴がある人には、さらに可能性が高い
脳下垂体にエネルギー入れ、ウイルス・化学物質・細菌抜く