なぜ今!?目覚める結核感染者

2800万人の真実

結核菌が目覚めるとき」

 70年近くにわたって研究を続ける結核研究所には、30年以上もの間、人工的に眠らせてある貴重な結核菌が保存されています。

今回、特別に酸素と養分を与え、眠りから呼び覚ましてもらいました。結核菌は、何十年でも眠り、何らかのきっかけで再び目覚めることがある、めずらしい菌なのです。

結核菌はどうやって侵入した?」

 それにしても、いつの間に菌は肺に入ったのでしょうか?肺には菌が入らないように“4人の番人”がいます。いったいどのように守られているのでしょうか?

 菌の兵への侵入を防ぐ第1の番人が、のどの「ふた」です。食べ物と一緒に菌が気管に入るのを防いでいます。

第2の番人が「粘液線毛」。気管の表面の小さな毛が菌を運び出します。第3の番人は「せき」。時速100キロメートルもの風速で菌を押し出します。

最後の番人は、免疫細胞「マクロファージ」。細菌を食べてしまいます。

 マクロファージは結核菌を閉じこめようとして殻を作りますが、それが菌にとっては、逆に防御壁の役目を果たしてしまうのです。

 推定2800万人の感染者の多くは、戦中戦後の結核大流行期に菌が肺に入り込んでしまった人たちです。
70代の5割、60代の3割が感染していると推測されます。
ストレスや糖尿病などで免疫力が落ちると、菌が目覚め、結核を発症してしまうことがあります。
「耐性菌が生まれる意外な理由」