デフレでも財政悪化でも繰り返す

消去法的円買い

 2008年秋の金融危機以降、基調としては円高が続いている。円が最もリスクの低い通貨だと見られているからだ。

 ギリシャの財政悪化の表面化でユーロの信認が揺らぎ、より安全とされる円にユーロからの資金が向かっている。

 米国経済の回復力の弱さを反映し、ドルもまったく勢いがない。オバマ大統領が金融規制法案を発表した1月21日には、株やドルなどの資産のリスクが高まったとして、円買いが加速した。

 中国の金融引き締めも円高要因だ。その影響で中国経済が減速すれば、中国を主な輸出先とする新興・資源国経済の回復にも不透明感が強まる。現状ではリスクに対する警戒感が強く、新興・資源国の通貨を売って、円を買う動きが強まっている。