人間の心には二つの面がある

 人間の心には二つの面がある。一は海の水面のように、外にあらわれて始終動いて外面的行動的な現在意識である。

二は海の底のように波立たないが無数の生きた“生物”を蔵しているように、無数の“生きた観念”を蔵している潜在意識である。

潜在意識は時として“無意識”とも称せられて、自分自身には気がつかないのに働いているところの意識層である。

それは恰も物理学者の所謂るエーテルが、色々の電磁波となり、光となり、熱となり、色々の素粒子(物質の分子を更に分解すると原子となり、原子を更に分解すると素粒子になる)をも生み出す元であるけれども静止のままでは「無」でありながら、

その波動が、与えられた力の方向に随って継続運動をしているように、潜在意識も、静止のままでは「無」であるけれどもの、与えられた精神的暗示の印象に随って、その通りに正続運動を何物でもつくり出すのである。

時として、潜在意識は海中火山のように猛烈な力をもって破壊的に働くこともある。

“如何に思うか”が自分の運命を決定します

 個人の潜在意識の底には宇宙の潜在意識が横たわっている。宇宙の潜在意識には無限の叡智が充ちており、宇宙の潜在意識の導きによって、個人の潜在意識は肉体の生理作用や本能のいとなみを完全に遂行しているのである。

併し個人の現在意識は自由の思考家(かんがえる人)として、みずからが主導者として何事でも思い浮べることができるのであるから、自分が思い浮べた想念が自己の潜在意識に落ち込み、自己の潜在意識の内容が宇宙の潜在意識の創化(無形のものを化して有用のものを作り出す)作用に融合する結果、
自分の思い浮べた観念が、自分自身の運命を支配する法則となり、心に描いた通りの方向に自分の運命を振向けることになるのである。

だから私たちは「何を思うか」「如何なる人生観を持つか」と云うことが最も重大なる根本問題であるのである。

「如何に此の世を考えるか」と云うことは「如何なる人生を自分自身が生きるか」と云うことと同様なのである。