意識が現実を創造する!

 こうした量子力学の考え方に、死ぬまで反対したのがアインシュタインだった。宇宙を含む自然界の森羅万象は人の意識や観察には関係なく、あくまでも客観的な実在であるというのがアインシュタインの信念だった。

「ネズミが見つめるだけで、世界が劇的に変化してしまうなんて信じられない」という立場を、アインシュタインは終生にわたって取り続けたのである。

 たしかに「この世」がアインシュタインのいうような世界でなければ、これまでの科学は妙なことになってしまう。

 量子力学の大御所ボーアとの論争(後述)に疲れた晩年のアインシュタインは、悩み抜いた末にインドの大詩人タゴールに次のように問うている。

「われわれが見ていない時は、空にかかる月は存在しないのでしょうか?」

 タゴールは答えた。

「この世界は人間の世界です。科学理論といえども緒戦は人間世界の科学者の見方にすぎません」

 誤解のないよう述べておくが、近代量子力学の結論は「認知できないものは存在しない」という弱々しい表現ではない。

 その主張は強烈きわまるもので、パリという街はあなたの意識によって実在化され、個々人の思念エネルギーによって変化するというのである。

つまり「あなたの意識がパリを創造している」というのが量子力学の結論なのである。
 われわれの世界は外見通りではない。人それぞれの意識エネルギーが「この世」の

基本的な構造や仕組みに大きな作用を及ぼしている。