米金融危機再来の懸念

9月23日、米オバマ大統領の経済顧問で、米連銀(FRB)の元議長のポール・ボルカーがシカゴ連銀で講演した。ボルガーは、用意してあった講演原稿を全く使わず、即興で別の話をした。

彼は、怒ったようにポケットに手を突っ込んだまま、銀行業界からビジネススクールまで、金融バブルを拡大させた諸勢力を手当たりしだい非難した。「金融システムはリーマン倒産以来、ずっと壊れた(broken)ままだ」などと語った。
自分が作ったオバマ政権の金融改革法を自画自賛しつつも「金融界からのロビー圧力を受け、米当局がうまく金融改革法を施行していけるかどうかわからない」と述べた。

私が注目したのは、ボルカーが「金融システムの中でも決定的に崩壊しているのは、不動産担保債権(債券)市場(mortgate market)である」「不動産担保債権市場は、偶然にも、米国の資本市場の中でも最も重要な部門となっており、米政府の傘下に置かれた(subsidiary)部門でもある」と述べたことだ。


破綻再来は早ければ今年中

ニューヨークタイムスには「無理をして住宅価格を下げないようにし続けても需要が回復しない。価格維持策をやめて、いったん下げるところまで下げた方が良い」という意見が載った。

だが、そんなことをしたら、まさに自滅だ。住宅価格が下がるだけでなく、銀行の倒産、債務保証していたファニーメイフレディマックの破綻と何兆ドルかの財政支出の必要、影の銀行システムの再崩壊による債券市場の崩壊と、資金源がなくなったことによる株価の急落、金価格の高騰、米国債を含む債券金利の高騰、ドルと米国債に対する国債忌避などを引き起こしてしまう。