中国の土石流被害の実態淺川氏

 中国甘粛省甘南チベット族自治州舟曲県で今月8日に起きた土石流災害で、現地当局は11日夜、死者は1117人に上り、627人が行方不明となっていると発表。9日に発表された死者の数は一気に3倍となった。

 しかし、香港や海外メディアの報道では、死者と行方不明者の数は政府発表の数倍もあり、死者は8000人以上との見方を示している。ほぼ全滅した三眼村と羅家峪村の被害状況を考えたら、実際の数はその数字をさらに上回る可能性さえありそうだ。

 現地入りした香港「明報」の記者の現場からの報道によると、県政府のある街では、すぐ目に付くところに死体がころがっており、悪臭が漂い、目を覆いたくなるような光景がいたるところに見られるという。

マスクなどの衣料品の不足は深刻で、救助現場でも、多数の人がマスクなしで遺体の発掘を行っていたという。

 今回の災害は乱開発による人災であるという考えが広がり始めている。もともと舟曲県一帯は森林や水資源が豊富な土地で、甘粛省の「桃源郷」と呼ばれていた。

しかし、50年代から大量の森林が破壊された上に、90年代から、付近を流れる白竜江上流でダムの建設が7ヵ所以上にわたって行われたために、土砂崩れや山崩れの危険性が高まっていた。

 新年早々からの「寒波」や「大雪」、「地震」に「干ばつ」に「洪水」…、これだけ大災害が続いたら、さすがの中国も、上海万博どころではなくなってくる。

これから先の中国の国情が心配だ。とても「対岸の火事」などと、呑気なことは言ってはおれなくなってきそうである。

 政府はチェルノブイリ(現ウクライナ)の西側に位置するロシア領には、火災は及んでいないと発表していたが、自然保護団体が、火災発生地域を地図に重ね合わせてみると、チェリノブイリに隣接するエリアで、実に200ヵ所にわたって森林火災が発生していた。