覇権・通貨・世界的な問題4田中宇氏 

 昨年11月に米国債相場が下落したのは中国とロシアが売ったからだとFTが報じた。中露は売った半面、民間の投資家が買ったので、米国の債券は下げに止まったのだという。

「民間の投資家」とは実のところ米連銀から量的緩和策による無利子資金を受けた米銀行界であると思われるので、この話が本当なら、中露が売った米国債を連銀が買い支えた構図になる。米国債市場が、21世紀の地政学的な「グランド・チェスポード」になっている。

 犯罪率の高さから、「米国で最も危険な都市」と呼ばれたニュージャージ州カムデンの市役所が、財政難から警察官の総数の6分の1を解雇する。全米各地の州や市町が財政難となり、警察や消防、教育、衛星、貧困対策などの行政サービスが低下し続けている。

米国の財政難は顕在化し始めたばかりなので、この現象は今後もっと悪化していくだろう。