未来予測             高島氏
 他方、日本ではあまり知られていないようだが、個人の力には依存しない方法も存在する。それらは、大きな社会的な出来事が発生する以前に、人間の集合無意識が出来事の発生を予知していることを証明したプリンストン大学のグローバルコンシャスネスプロジェクト、ネットで収集した言語データの解析から人間の集合無意識の構成を突き止め、将来起こる可能性の高い出来事を予測するウェブボットプロジェクト、そしてマヤカレンダーの精密な解釈に基づいたコルマンインデックスなどである。

       (1)天体運行反映説 マヤカレンダーは天体の運行を実際に反映しているとする説。太陽系は天の川銀河の軌道を上下に蛇行しながら公転している。この公転で、マヤの言葉でフナブクーといわれる銀河中心、そして太陽と地球の位置関係が変化する。
 この変化に基づいたカレンダーがマヤカレンダーである。古代マヤ人は銀河中心の概念をもっており、2012年12月21日には銀河中心と太陽、そして地球が直列する2万6000年に一度の減少が起こるとする。

(2)意識進化説 

確かにマヤカレンダーは、天体の運行と関連している側面はある。だが、基本的にマヤカレンダーは人間の意識進化の超越的な予定表であり、天体の物理的な運動とは関係がないとする説。

 この説の代表的な人物こそ、これから紹介するコルマンインデックスの考案者であるカール・ヨハン・コルマン博士である。これまでの未来予測が的中していることも手伝って、アメリカでも急速に人気が出ており、ジェンキンズの人気に迫りつつある。

(3)世界の転換説 

これまで世界は3回滅亡と再生を繰り返しており、いま第四の世界にいる。

 現在のマヤカレンダーは紀元前3114年8月11日に始まり、2012年12月21日に終わるが、この期間は第四の世界の期間である。マヤカレンダーの終了とともに第四の世界も終了し、より進化した意識が主導する第五の世界が出現する。

 この意識進化の方向は、人間が人間を支配する ための階層的社会システムの放棄まで進む! 

これに対しコルマンインデックスでは、あくまで意識が先に進化し、その進化した結果として世界や社会が変化するという、いわば意識進化に主導されて世界が変わっていく構図なのだ。コルマン博士はこの論文でこの点を明確にしている。

 マヤカレンダーは、カレンダーに記されている宇宙的なエネルギーの変化が引き起こす意識進化の神的な予定表なのである。したがって、われわれの意識はマヤカレンダーの終点である2011年10月28日が来るまで一歩一歩変容が進められるのである。

 これはどういうことかというと、われわれの人生を方向づける新しい意識が生まれると、その意識は世界と社会に影響を与え、世界と社会に対するわれわれの関係のあり方を変化させてしまうということを指しているのだ。したがって意識の進化というのは、われわれの心の中だけで起こる現象ではない。同時にそれはわれわれのあらゆるものとの関係の変化として現れる。むろん、経済に対するわれわれの関係も、意識の進化に伴い大きく変化せざるを得ない。

 経済成長を希求しないほど進化した意識とは、「いまの一瞬一瞬を充実して生きる」ことができる意識である。つまり、いつでも幸福感に満たされているので空虚感を感じる必要がない心の状態ということだ。

コルマン博士は、空虚感こそ物質的な豊かさを無限に追い求める心の根源にあるものであると考えている。したがって、心がいつも幸福感で満たされているなら、心の空虚感を物質的豊かさで補う必要もなくなるので、経済成長を無限に希求することもなくなるということだ。

 ドル崩壊するにともない、地球的な規模の広域自給自足経済圏(SOC自己組織集団)の形成が一気に進む。この最初のものは女性を中核とした共同体である。

          LEAP/E2020

金融危機ならびにその後の世界不況に直面し、国民は政府、企業、メディアなどの社会組織に対する信頼を完全に喪失してしまった。逆に、いま国民は信頼できる仲間との関係を樹立し、地域コミュニティーに回帰する方向に動いている。

 これは、大きな車に乗り、家を何軒も持ち、ほしいものを手に入れるためには借金もまったく厭わないという、これまでの消費行動とは正反対の動きである。

地域コミュニティーに回帰した生き方は、幸福の源泉を家族や仲間との人間関係に見いだすのであり、車や耐久消費財などのものの消費へとは向かわなくなる。いまこのような消費性向の変化は主要先進国で加速している。したがって、アメリカの莫大な消費が支えてきた、かつての状態に世界経済が戻ることはまず考えられない。それを実現しようとする政府の、どのような努力もむだに終わる。

          持続可能な経済 

コルマン博士の「持続可能な社会」、LEAP/E2020の「地域コミュニティーへの回帰」、ウェブボットの「広域自給自足経済圏」の概念は、これからやってくる脱消費社会のイメージを素描している。

 コルマンは博士は、そうした「脱消費社会」は、私たちの意識の変容の結果として主体的に選択されるのだという。それは意識変容の結果であり、原因ではない。そしてそれは、2010年7月17日から11月2日の第六の夜の後半に徐々に起こってくるという。

「脱消費社会」とは人々が単に過剰に消費しなくなる社会のことを言っているのではない。そうではなく、人々がかつて存在していた大いなる全体性とのつながりを深く実感し、あらゆる存在にそうした全体性の現れを感じる世界が「脱消費社会」の真の姿ではないだろうか。そこでは単なる「もの」はもはやそんざいしないのである。「すべてつながっている」と人は言う。それは当たり前なことだと言えるかもしれない。

 その意味では、「つながり」を確認する手段である携帯電話こそ、もっとも愛着があり、自分の身体の一部となるほど一体感のある「もの」である。したがって、携帯電話が必須のアイテムになればなるほど、われわれは共同体への志向を強め、それに合わせて消費性向が共同体的なものへとどんどん変化していっているといっても過言ではないのだ。

 すでにわれわれは消費性向を大きく変化させつつあることはこれまでに見た通りである。大勢の仲間と「つながる」ことこそ重要で、「つながり」の象徴となるような固有の品々こそ大切であった。

 つまり、われわれは意識するしないにかかわらず、持続可能な共同体経済へと向かう大きなジャンプを開始してしまっているのかもしれないのだ。
 この革命の過程で、アメリカの伝統的な意識と価値観は新しく台頭した意識と衝突し、ぶつかり合う。そのプロセスから、これまでとはまったく異なるアメリカ人の国民性が現れる。

 どうだろうか。どの占星術師の予測を見ても、大筋ほぼ同じことをいっている。それは、2010年の夏を境にアメリカを中心に世界の経済が大きく変化し、それをきっかけとして国民の大規模な抗議運動が発生する。その過程で、新しい意識と価値観が古いものと衝突し、反抗文化が一世を風靡した60年代の価値観がよみがえるというものである。

     なんと温暖化こそ寒冷化の原因 

この報告書で驚くのは、地球の寒冷化の原因がなんと温暖化にあることが明確に説明されていることである。温暖化が進むと気温が高くなると一般的にはイメージされているが、地球の天候のメカニズムははるかに複雑で、温暖化が一定のレベルに達すると寒冷化のスイッチになるというのだ。

      過去に何度もあった寒冷化

 地球の歴史で寒冷化は珍しいことではない。過去、73万年の間に寒冷化の期間は8回あった。もっとも近い時期では、1万2700年前のヤンガー・ドリアス期と呼ばれる1000年間続いた寒冷期、8200年前に発生し、100年間続いた小氷河期、そして1300年から1850年まで続いたゆるやかな寒冷期の三つである。

すべての寒冷化の原因、温暖化と熱塩循環の崩壊

 考古学的な記録から、これらのどの時期にも温暖化が先行して起こっていることは分かっている。これは、温暖化が次の時期の寒冷化の引き金になっているからである。それは、世界的に天候を維持するシステムである熱塩循環が温暖化によって崩壊するからである。

            熱塩循環

 世界の気候は熱塩循環という海流の循環によって維持されている。メキシコ湾海流のような海の浅いところを流れる海流は北極で深く沈み込み、北大西洋深層水となる。この深層水は数百メートルの深さで海流を形成し、1200年かかって北東太平洋で表層に再度出てくる。海流の移動は、熱やガス、そしてあらゆる溶解物質を運ぶ。これは地球の大気に影響し、気象のパターンにも影響する。

    2010年から2020年までの変化 


この時期には以下のような変化が予想される。

 熱塩循環の停止で暖かいメキシコ湾流はヨーロッパまで到達しなくなる。このため北ヨーロッパや北西ヨーロッパの平均気温は低下する。この地域では砂漠化が進行し、2020年ごろにはシベリアのような状態になる。平均気温は3・3度低下する。

・ ヨーロッパや北アメリカで干ばつが頻繁に起こり、食糧不足が深刻になる。

・ アジアと北アメリカの地域では平均気温は2.7度低下する。

・ オーストラリア、南アメリカ南アフリカなどの南半球では平均気温は逆に2・7度上昇する。
・ 冬には強烈な嵐と風に見舞われるようになる。特に西ヨーロッパと北太平洋は西からの強風に襲われる。

 このような深刻な気象の変化により、干ばつや天候異変で耕作地は縮小し、また水源地も失われることから、2020年前後には世界的な規模で水、食糧、資源の不足が発生する。これらの不足のため、国家間の関係は緊張し、国家同士の争奪戦が発生する。

これから怒涛のように流れ込む極端な低価格製品

 すると、これから新興国の巨大企業が生産した極端に価格の安い新製品が怒涛のように先進国の市場に流入することになるはずだ。こうした製品はこれまでの分野のみならず、先進国が辛うじて優位を維持してきた自動車や家電、そして高度医療機器なども含め、われわれの生活のすべての分野に入ってくる可能性が大きい。
 こうした共同体は「ボクコム」と呼ばれるようになる。その成功が賞賛される五つの共同体は1000マイルという、国民国家の独立性を脅かすに十分な規模にまで成長する。国民国家はほとんど国民の信頼を失っており、こうした自給自足的共同体の興隆になすすべもない。人々は国民国家の幻想やかつての資本主義システムには見向きもしなくなる。

 自給自足的自己組織集団(SOC)の成功が主要メディアで盛んに報道されるようになる。

 いかがだろうか・こくしたイメージは政府は発表した「新成長戦略」が目指している「分散自立型・地産地消型の自立定住圏」にかなり近いものではないのだろうか。

だとするなら、脱消費社会は新しい経済システムに移行するのは日本が一番早いのかもしれない。日本が発展できる唯一の形は、地産地消を基本とした地域経済しかない!

     日本がいま、向かっている方向 


いま日本が向かっている方向は、「地域主権の循環型経済」「定住自立圏」「自給自足共同体」などと呼ばれる方向である。前章ではこうした方向に向かわざるを得ない必然性を新興国で起こっている価格破壊という、日本を取り巻く外部の条件から探ってみた。

 内向型社会への転換―「ストラトフォー」が予測する日本の新しい社会への移行とは?

 2010年の6月28日、政府は「新成長戦略」を閣議決定した。この戦略の骨子は地方主権を促進し、これまで中央の官庁が独占していた権限を各地域にゆだねることにある。これで、インフラ整備や社会福祉、そしてセイフティネットの構築を各地域が実施することができるようになる。

 それをベースにして、地域の特性を生かし、地域で生産したものを地域で消費する地産地消型の経済を立ち上げるという案である。「新成長戦略」では、kろえを「定住自立圏」と呼んでいる。これはよく言われる「自給自足型経済」と呼ばれるものに近い構想だ。「新成長戦略」から一部引用してみよう。

ベーシックインカム制度と地域通貨

定住自立圏移行期の危機―地域共同体を自分たちで維持できるのか?
生産人口の減少で問題となるのは、生産力の低下ではなく、むしろ個人消費の低迷だ。退職者はお金を使わないのだから消費が低迷するのは当然だ。
 一方、移民労働者は本国に送金することが動機で働いているので、日本屋内ではお金を使わない。すると、移民労働者を受け入れたとしても、生産人口の減少で低迷した個人消費の回復につながらないことになる。

ストラトフォー」は、日本が外向から内向への歴史的なシフトを経験しているという。それは間違いない。内向へのシフトが生み出す典型的なモデルこそ、生活圏経済の構想なのだ。

 だが、「ストラトフォー」の指摘する内向型の社会とは、自分の社会に閉じこもり、孤立して鎖国してしまうことを指しているわけではない。逆に、これらら同じ状況になる先進各国に、低成長だが相対的に高い生活水準を保証することのできるモデルを積極的に提起できる社会でなければならない。

 国家主義が日本の隷属を強化する。変質したアメリカ。アメリカによる日本のコントロール