到来!パーソナルゲノム時代 

DNA配列全てを解読する技術が飛躍的に向上し、誰でも自分の遺伝情報「パーソナルゲノム」を知れる“大衆化”の時代が到来しようとしている。

 アメリカでは遺伝子から病気のリスクを知り、早めの対策をとるために、パーソナルゲノムを解読する人が増加。解読ビジネスも始まっている。病気に関する遺伝子は未知のものが多いが、ゲノムは一生不変で、重要な遺伝子が発見されるたび、自分の配列と参照、確認することができる。

その一方、遺伝情報は親や子どもなど血縁者と共通する部分があり、知りたくない人に望まぬ情報を突きつけるという問題も顕在化している。急速に普及するパーソナルゲノム解読、それがどのような社会をもたらそうとしているのか迫る。

 パーソナルゲノムで健康を管理する時代

人の身体の設計図であるDNAの解読が、2000年頃に話題になったことを覚えている。世界各国が参加し、何千億円ものコストをかけ、何年も高性能のコンピューターを難題も駆使して行う一大プロジェクトだった。

今、その技術が急激に進歩していることを、今日の「クローズアップ時代 到来!パーソナルゲノム時代」で知った。
唾液のサンプルを送るだけで、全DNA(パーソナルゲノム)の解読をしてくれ、検査結果は後日インターネットにアクセスして確認できる。

費用は50万円。自分で払うことを考えると高額ともいえるが、以前とは比べ物にならないくらい安くなっている。

最近、遺伝子と病気の関係が明らかになりつつあり、パーソナルゲノムを知ることは、かかりやすい病気に備えることを可能にし、健康管理に役立つ。

たとえば、ゲノム配列から心筋梗塞のリスクが高いことが分かったので、今後は低脂肪、低カロリー塩分控えめの食事を心がけ定期的な運動をするという具合だ。また、パーソナルゲノムからは、高い効果が見込める薬も知ることができるとのことだ。

遺伝子は血のつながりがある人と共有している可能性がある。パーソナルゲノムを検査することを決断した本人だけではなく、知ることを選ばなかった親や子どもなどの血縁者にも病気のリスクを示唆することになり、望ましくない結果が出た場合には将来への不安がつのってしまうことになる。

パーソナルゲノムは究極的な個人情報であり、結婚、就職、出産などの際に利用されると、差別につながりかねない。保険料の算定にパーソナルゲノムのデータを利用することも、技術的には可能だろう。