カンピロバクター食中毒

 ヒトのカンピロバクター感染症では、発熱、腹痛、下痢、血便を伴う腸炎症状がみられ、治療をすれば2−5日で回復することが多いのですが、特に症状が長引く場合もあります。

また、まれに虫垂炎や腹膜炎等の下痢症以外の症状がみられることもあります。菌が体内に侵入してから発症するまでの潜伏期間が比較的長く、一般に2−7日間かかるのも特徴です。

         感染経路 

下痢等の症状があるか、もしくは一見健康そうな家畜(牛、豚、鶏)、あるいはペット(犬、猫)などの腸管内にもカンピロバクターは存在し、これらの動物の排泄物により汚染された食品や水を介して人に感染します。

また、比較的少ない菌量(100個程度)で感染が成立することから、小児ではペットやヒトとの接触によって直接感染することもあります。
鶏肉などの肉類は本菌により汚染されている可能性も高く、そのため、これらの食品はカンピロバクター食中毒の主要な原因食品にもなっています。

また、この菌は低温に強くて4℃でも長期間生存しますので、一般の細菌と同様に、または、それ以上に冷蔵庫の過信は禁物です。

 2005年には3439名にまで増加しました。また、カンピロバクター兆円発生にはその他の細菌による腸炎がピークを示す夏期(7−9月)よりやや早い5−7月にピークがみられ、サルモネラ腸炎ビブリオ等による細菌性の食中毒の発生が少ない冬季にも発生が認められています。

 さらに、問題になっているのは本菌がギランバレー症候群の原因ではないかと疑われていることです。

ギランバレー症候群とは急激に発症する主として運動障害を起こす末梢神経疾患で、下肢の筋力低下による歩行困難、顔面の神経麻痺、それに重症例では呼吸筋も侵されて人工呼吸器が必要な場合も起こりうる病気ですが、本症候群とカンピロバクター菌との関連が推測されています。