がん細胞「発生と抑制」のメカニズム
がん遺伝子は、すべての正常細胞の核内遺伝子に潜んでいます。通常の場合は、ヒストンなどのタンパクによって強い抑制を受け、静かにしていますが、何らかの原因で抑制が除かれると、がん遺伝子が活動し始め、発がんすると考えられています。
この発がんのプロセスを進める酵素がありますが、それをチロシン・キナーゼと呼びます。
少し専門的ですが、チロシンは芳香族アミノ酸の一種で、ベンゼン核にアラニンと水酸基とが対角位置に付いた構造をしています。キナーゼはリン酸基を付加する酵素です。
一方、ベンアルデヒドもベンゼン核にアルデヒド基が付く構造を持っており、チロシンと似た構造であるため、酵素の基質受容体がチロシンと誤認してベンズアルデヒドを受容するので、本来の基質であるチロシンが基質受容体に付着できなくなり、酵素活性が低下し、ひいては発がんのプロセスが停止します。
これが、ベンズアルデヒドのがん特効薬としての作用メカニズムです。
そして、ベンズアルデヒド誘導体の中でもパラヒドロキシベンズアルデヒドは、アルデヒド基と対角位置に水酸基があるから、よりチロシンに似ており、より強くチロシン・キナーゼを阻害し、より強い制がん作用を発揮するのだと思われます。 90%
医学博士岡崎公彦