万物の質量のもと大追跡 

半世紀近くまえにその存在が予言され、物理学者が探していた素粒子の発見が射程に入ってきた。宇宙の万物に質量を与えるヒッグス粒子。ものに重さがなければ、地球も人もこの世に生まれようがなかった。

 ヒッグス粒子は宇宙のあらゆる場所に存在し、他の素粒子に重さ(質量)を与えるという独特の役割を担っているが、なかなか姿を現さない。欧州や米国の大型装置で探索実験を試みてきたが、取り逃してきた素粒子の「大物」だ。
        ヒッグス粒子 

素粒子の標準理論では、クォークが6種類、電子の仲間が3種類、ニュートリノが3種類の計12種の素粒子で物質が構成されるとする。これらの粒子に働く力に関係する素粒子として、光子など4種類がある。

 一方、ヒッグス粒子はこれらとは異なり、真空中にあまねく存在し、他の素粒子の仲間に重さ(質量)を与える独特の役割をする。

 1995年に、クォークの中で最も重いトップクォークが見つかった。

2000年には、ニュートリノの一種であるタウニュートリノが確認され、まだ実験で発見されていないのはヒッグス粒子のみとなっている。