脳内物質ドーパミンのはたらきドーパミンとは?

ドーパミンは交感神経節後線維や副腎髄質に含まれるノルエピネフリンエピネフリン(ホルモンの一種)という物質とともに生体内アミンの一種であるカテコラミンという物質のひとつです。

正確には線条体の背側にA9から、腹側の線条体(これを別名側坐核(そくざかく)とも言う)にはA10からドーパミンニューロンの軸策が伸びています。軸策の末端にはシナプスという構造があって、そこからドーパミンを放出するので、線条体ドーパミンが多くなるというわけです。

パーキンソン病の患者さんでは、黒質緻密部にあるドーパミンニューロンが死ぬために線条体で放出されるドーパミンが少なくなって無動、固縮、振戦といったパーキンソン病特有の運動症状を生じるわけです。

ドーパミンの働き

私たちが日常何かをするときには、意識するしないに関わらず必ず何らかの動機がその行動の背後にあります。ものを食べたり、ゲームをしたり、勉強をしたり、スポーツをしたり、溝に落ちないように道路を歩いたり、あるいは朝起きて顔を洗うといった習慣などにも煎じ詰めれば何らかの動機があります。

私たちのまわりで起こるさまざまな出来事がいいことであれ、いやで危険なことであれ、とにかく自分にとって意味があって、何らかの行動を引き起こすような場合には必ずドーパミンニューロンが活動しています。
つまり、私たちは周囲の環境にに適応し、学習しながら、生活するすべを会得していきます。言ってみれば人生は学習の連続です。ドーパミンはそのような学習の強化因子として働いているのです。

ドーパミンが減るとどうなるか?

ドーパミンニューロン大脳基底核とそれに指令を与える大脳皮質(とくに前頭前野(ぜんとうぜんや)や帯状回(たいじょうかい)など)に枝を伸ばしてドーパミンを分泌します。

そこでは技能を磨いたり、次第に行動を習慣化したり、そのような個々の行動をどのような順番に組み合わせて行動を起こすかを企画したり、戦略を練ったりする働きをしています。

ですから、パーキンソン病のようにドーパミンニューロンが減少してドーパミンが少なくなると、立ち上がって歩こうと思っても、身体がすくんでしまって、どういう順番に筋肉を動かしていいかわからなくなったり、身体が震えたり、運動そのものができなくなってきます。

また、物覚えが悪くなったり、忘れっぽくなったり、万事がゆっくりになって反応が鈍くなり、集中力や注意力も失われ、無力感、無気力になったりします。また、次第に人と交わるのも嫌になり、社会から離れていきます(これを皮質下痴呆と言います)。

ドーパミンが多すぎるとどうなるか?

ドーパミンが逆に多くなるのも良いことではありません。幻覚やパラノイア精神分裂病の陽性症状)が起こったり、発話や運動をコントロールできなくなって、変な恥ずかしいことを思わずやったり口走ったりしますし(チック症やGil de la Tourrette症候群)、不必要とわかっていながら同じ行動を反復する強迫神経症になったりします。また、薬物依存もドーパミンに関係しています。

ドーパミン多く出る様に大脳基底核の中の線条体の背側にA9之ドーパミンニューロン之軸索から分泌されるドーパミンにEg入れる