2014年、世界連鎖破綻と

       日本経済に迫る危機
                               三橋 貴明氏
                               フーチ 70%
 世界でもっとも国債金利が低いわが国で「財政問題」が喧伝され、各種も間違った政策が推進されている。代表的な間違った政策とは、もちろん消費税増税である。日本の国債金利が低いのは、べつに「日本政府の信用が高い」といった定性的な話ではない。たんにデフレが深刻化し、国民が銀行預金を増やし、さらに銀行からの貸し出しが細っているためだ。

 増税はデフレの要因ではないというミスリードが始まったこのままではデフレ悪化と増税の無間地獄へ陥る。デフレは貨幣現象なのか、総需要不足なのか。財政支出の増額こそが必要であり、財政赤字に対する懸念は棚あげすべきだ。増税による税収減という最悪のシナリオが現実になる。

TPP参加で日本市場はグローバル企業の草刈り場になる。

    ?モノ(製品)やサービスの輸出入
  ?資本の移動(直接投資の自由化、証券投資の自由化)
  ?労働者の移動

 ユーロは1%の富裕層のためにつくられた。ユーロは3億2600万人から主権を奪うという社会実験

日本のデフレ継続はグローバル資本を喜ばせるだけ。

財政均衡主義でボロボロになるドイツのインフラ。このままではドイツは遠のからず発展途上国になる。2014年、南欧諸国の失業率悪化でユーロが瓦解!

 財閥破綻の連鎖と通貨スワップを進める韓国の焦り。利益・成長至上主義が招いた中国の深刻な環境汚染。断末魔の中間にはパッシングの姿勢こそ日本の国益

 ところが、環境汚染は富裕層から貧困層まで、移住する全人民が悪影響を被るのだ。なにしろ、北京などは閉めきったマンションのなかですらマスクが必要な状況なのである。環境汚染を解決できない習近平政権に対する人民の不満が高まると、共産党の権威が揺らぐ。

 日本の国民経済は、べつに中国や韓国への輸出入に依存しているわけではない。割合でいうと、対中輸出が対GDP比2.4%、対中輸入が同3.2%、対韓輸出が同1%、対韓輸入が0.7%程度にすぎないのだ。わが国の経済が低迷しているのは、長期のデフレに苦しめられているためで、べつに対中国、対韓国の関係が悪くなったからでも何でもないのである。

 ユートピアの出現を説いた共産主義の失敗。ケインズ政策がもたらした西側諸国の「黄金の四半世紀」。そして、新古典派経済学がゾンビのように蘇った!

 アメリカ、イギリスで推進された新古典派によるインフレ抑制策。「ワシントン・コンセンサス」というパラダイムシフトはなぜ起きたか。新古典派経済学の教義をことごとく覆した日本企業。「わが国に財政問題はない」が日本の真実。

 ワシントン・コンセンサスのもとで拡大しつづけた格差。デフレ脱却をめぐるフリードマンVSケインズの闘い。2014年、主権をめぐる戦いが始まる。