心臓内にできる血栓が手足の壊死(えし)を招く?「心房細動」


Aさんは、ある日急に右手が重くしびれたようになり、動きにくいと感じました。しばらく休めば治ると思い、病院には行かずに様子を見ることにしましたが、翌朝もまだしびれが。

念のため病院へ行くと、そこで医師に言われたのが、「手が壊死する直前」という驚くような言葉でした。

Bさんの場合は、ある日突然左足が動かなくなり、触ると冷たいという異常が。救急車で病院へ行くと、すぐに緊急手術!足の壊死を寸前で食い止めることができたそうです。

2人の症状は、気づかない心臓のけいれん=「心房細動」が原因で起こったものでした(「心房」とは心臓の上側のポンプで、肺で酸素を受け取った血液を心臓に取り入れる役割を果たす部分です)。

なぜ心臓のけいれんで手足が壊死しかねない危険な事態を招いたのでしょうか。その犯人は、血管を詰まらせる血栓。 

私たちの心臓は、まず肺で酸素を受け取った血液を心房のポンプで吸い込み、これを心室(心臓の下側)のポンプで全身へ送っています。この一連の動きが正しいリズムで行われるよう指令を出すのが、洞結節(ペースメーカー細胞)です。洞結節が発する電気信号のリズムに従って、心房や心室が規則正しく動きます。

ところが、なぜか突然心房のあちらこちらにニセの電気信号が現れることがあります。これに惑わされて心房が高速で動いてしまうのが、「心房細動」の状態です。

この時、隣の心室もつられて速く拍動しやすいタイプの人は、異変に気づいたCさんのように心拍数が急上昇します。一方、心室が心房内のニセの電気信号に惑わされにくいタイプの人は、Dさんのように心房細動が起きていても自覚できるほど鼓動(=心室のリズム)は乱れません。

でも、どんなタイプの人でも、心房細動が起きているかどうか自分で簡単に発見できる方法があったんです。心室がニセの電気信号にほとんど反応しないタイプの人でも、時々は心室が心房細動につられて鼓動のリズムを乱します。

つまり、心房細動が起きやすいタイミングをねらって脈を測れば、心房細動が起きているどうかチェックできるのです。
脈を測るタイミングは、就寝前と、朝起床したとき。最近の研究で、心房細動はリラックスしているときや就寝中など、副交感神経の働きが活発なときに起きやすいことが明らかになったのです。

☆心房、洞結節にEg入れ、
ウイルス・菌・化学物質ぬく