果因説?

西園寺 昌美氏
フーチ 90%

 これは実際にあった話です。昨年私はユネスコ総会のためのフォーラムに出席するためフランスに行きました。そこにフランス在住の知人がボランティアをしに来てくれました。

 その折、彼女の実体験を聞きました。それはまさに果因説そのもの、彼女は自らの意識と強い信念と見事な見識により、病を克服し成就させたサクセスストーリーを話してくれたのです。そしてそれは、いかなる人の肉体にも自然治癒力、無限なる素晴らしい力が備わっていることの証明でもありました。

 彼女はある日、病に倒れて床に伏したまま、歩けなくなりました。もちろん病院には行きましたが、原因不明とのこと。しかし、彼女自身は若いころから自然治癒力を信じていたそうです。そこで、自らが自らの肉体を癒そうと決意しました。

 最初は寝返りを打つことさえ辛く困難な状態でありました。しかし彼女は果因説を実行するのに最もよいチャンスとばかりに、未来の希望を夢に描き、努力、忍耐し、前向きな思考を自らに強いました。それは自分との戦いで、毎日が苦しみと痛みによる試練の連続だったそうです。

 ですが、その間、どんなに苦しく痛く辛くとも、決して諦めることなく、マイナス思考は余り出なかったとのことです。その代わり、さらに意識を集中し、ポジティブ思考を続け、決して断念しない、放棄しない、すべては必ずよくなる、絶対大丈夫、成就と思いつづけ、果因説を実行しつづけたとのことです。

 はじめに、彼女は夢と希望に満ちた、目標とする自分の姿―健康体になったという成就の全体像を思い浮かべました。その後は目の前の小さな一歩に希望を託しつづけ、それを現実に顕現していったそうです。

 彼女は寝返りを打つところから始めましたが、その第一歩がすでに苦痛でした。寝返りはおろか身体を少し動かすだけでも全身に激痛が走り、悲鳴を上げるほどだったそうです。

 それでも彼女は決して諦めませんでした。少しずつ少しずつ、意識も肉体も繰り返し繰り返し、前向きに努力、忍耐を続け、そしてポジティブ思考に徹した結果、ついには寝返りが打てるようになったのです。夢の第一歩が成就しました。

 次はベッドから立ち上がることに挑戦しました。これも歯を食いしばり、何度も何度も立っては転び…そしてついに立てるようになりました。
 次のステップはトイレに一人で歩いてゆくこと。これもまた、足を踏み出すのに大変な努力と時間を要しましたが、焦らず一歩一歩足を踏み出すことに意識を集中し、歩くことのみに専念し、それもついに成就。
 次に残された課題は、一人で外に出るということ。これもリハビリ訓練を片時も怠ることなく繰り返した結果、ついに玄関の外に出られたのです。これもクリアー。