サーチュイン遺伝子は

本当に長寿遺伝子だった
サーチュイン遺伝子には、ある遺伝子の数を一定に保つという作用があり、それがゲノムの安定性へ通じ、確かに寿命を延ばすことにつながっていたのでした。そしてこれこそが、長生き効果における唯一の反応経路であることを実証しました。

決定的に必要なのはリボソームRNA遺伝子のコピー数の維持であること。具体的には、E−proというプロモーターを制御することだということです。実験では、サーチュイン遺伝子のノックアウト酵母株において、リボソームRNA遺伝子のコピー数を制御することにより、酵母菌の寿命を自由に操作することさえ可能でした。今後、このリボソームRNA遺伝子のコピー数の維持、つまりゲノムの安定性の維持が、老化や寿命の制御にどのように具体的にかかわっているか、さらに突き止めていくことが望まれています。

サーチュイン遺伝子が働くとどうなるの?
サーチュイン遺伝子のスイッチが入り、活性化されると細胞内の小器官「ミトコンドリア」の量が増え、下記のような効果を得る事が出来ます。

・しみやしわなどを防ぐ
認知症を予防する
・脂肪を燃焼させる
・細胞の修復をする
・遺伝子の外敵である活性酸素を除去する
・難聴を予防する
動脈硬化を予防する
・その他100種類にも及ぶ老化要因を抑制する。

寿命を延ばすだけでなく、上記のように美容や病気の予防にも働く幅広い活躍を見せるのが、サーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)なのです。

<用語解説>
・ゲノムの安定性
ゲノムの持つ情報に変化が起こらない安定な状態。つまり、ゲノムを担うDNAが切れて一部が失われたり、組み換わり場所が変化たり、コピー数が変動したり、変異が入ったりしない状態。

リボソームRNA遺伝子
タンパク質の製造工場であるリボソームの構成成分の1つがRNAで、それをリボソームRNAと呼ぶ。それを作る遺伝子のこと。ヒトや酵母のゲノムでは、この遺伝子のコピーが100個以上並んでいる。

・E−pro
リボソームRNA遺伝子間にある非コードプロモーター。タンパク質合成を行わず、RNAのみ合成するスイッチの役目をする遺伝子配列。この転写がリボソームRNA遺伝子間の組換え(不安定性)を上昇させる働きがある。