脳の強化書?

加藤 俊徳氏
        脳の進化をたどろう
 これは、脳の進化から見ても、ある程度正しいと言えるかもしれません。ここでちょっと、私たちの脳の歩みについて解説しましょう。
 私たちの祖先は、厳しい自然環境に適応するために進化してきました。この進化の歴史は、そのまま脳の進化の歴史であると言えます。脳の一番奥にある「脳幹」は、呼吸や血圧など人間が生きていくために必要な機能を司っています。いわば、人間の生命維持装置です。
 この脳幹の上には、感情や記憶、行動、学習に関わっている部分があります。それが「視床大脳辺縁系」。先ほど触れた食欲、性欲、睡眠欲という3大欲求が生まれるのは、この視床大脳辺縁系です。もしも、人間の脳がここで進化を止めていたら、私たちは動物と同じ生き方をしていたでしょう。
 前にせり出してきた脳
 大脳皮質はこれらを覆うようにして前にせり出しています。このことは、何を意味しているのでしょうか?
 私たちの脳は、脳幹から視床大脳辺縁系、大脳皮質、と外側に向かって層を積み重ねることで進化してきました。
 現在、大脳皮質が脳幹より前方にあるということは、脳が前に向かって進化してきた証拠でもあるのです。それはまるで、脳の「育ちたい!」という欲求が、その目的を遂げようとしてグイグイ全身してきたかのようです。

  50代を過ぎて成長ピークを迎える超前頭野

 このように進化してきた私たちの脳には、「超前野」と呼ばれる場所があります。

「超前頭野」「超側頭野」「超頭頂野」の3つで、名前が示す通り、それぞれ頭の前方、側面、頂上部に位置しています。そして、これらは脳の中でもとくに複雑な情報処理を担当している。“超エリート脳細胞集団”なのです。

 ちなみに、超頭頂野は、動物の脳には存在しません。また、超前頭野、超側頭野は、他の動物にも備わっているものの、人間に比べると発達がかなり乏しいです。