腸をダメにする習慣、鍛える習慣?

藤田 紘一郎氏
フーチ 90%
      腸内細菌をダメにする食べもの

 現代は腸内細菌の働きを弱め、数を減らしてしまう食べものであふれています。スナック菓子、ファストフード、レトルト食品、コンビニ弁当などです。

   30回噛めない食べものは免疫力を下げる

 添加物は保存料だけではありません。着色料、膨張剤、酸化防止剤、甘味料、香料、栄養強化剤なども、免疫システムにとって未知の物体です。
私たちの免疫システムは1万年前から変わっていないので、「人体に影響がない」と判断できない物質に対しては、免疫システムが作動し、活性酸素を発生させて排除しようと働きます。体内で大量の活性酸素が発生すれば、腸内細菌も傷つき、量を減らすことは避けられません。

 加工食品のなかでも、私が注目しているのが、ポテトチップスなどのスナック菓子です。スナック菓子には、口に入れただけで「おいしい!」と感じさせる旨み調味料がまぶされています。

 旨み調理料といえば聞こえがよいですが、噛まなくても強烈な幸福感が脳に直行する化学調味料です。化学的につくられた添加物ですから、食べれば当然活性酸素が出ます。

 しかし、旨み調味料の怖いのは、それだけではありません。脳の依存性があるのです。あるメーカーが菓子にまぶす調味料を従来の2・5倍に増やしたところ、売れ行きが爆発的に増えたというデータがあります。噛まなくても得られる強烈な幸福感を求めて、人々の脳が暴走し、スナック菓子を何度も購入させるという連鎖が起こったのだと考えられます。脳の欲求にまかせて、そんなものを食べ続けていたら、腸内環境はどんどん老化し、免疫力はどんどん落ちていってしまいます。噛まずに「おいしい」と感じるものは食べない。

   味噌と納豆が腸内細菌の滋養強壮剤になる

 日本の伝統食には腸内細菌を増やし、免疫力を高める食品が多いと知られています。日本の伝統食によく含まれているのが、乳酸菌などの発酵菌です。味噌やしょうゆ、酢、みりんなどの調味料のほか、納豆や糠漬け、塩辛、酒盗、なれずし、くあさや、日本酒、焼酎などさまざまな食品が、善玉菌の力を使って発酵してつくられています。

 味噌には強力な抗酸化作用があります。広島での原爆後遺症の調査の中で、「味噌汁を毎日食べていた人は、後遺症が軽くすんだ」という報告がありました。

放射線被ばくで怖いのは、放射線を浴びる量が多くなるほど、体内で大量の活性酸素が発生することです。そして、近くの細菌を次々に破壊していくという「もらい泣き現象」を起こすことです。