習近平
 習近平の「反腐敗」運動は、「贈収賄猟官運動の禁止」をうたい、その根拠は共産党規則の記載である。しかし、政治権力と資本、唯物主義と市場経済が結びついて、モラルなき拝金主義集団となった中国で、腐敗は完全に日常化している。腐敗を理由に多数を失脚させているだけに、自分が腐敗していることが明るみに出れば、最大の汚点となる。ここが習近平最大の弱点である。

 習近平にかかわる腐敗が海外メディアで報じられたことも何度かある。2012年6月にブルームバーグが、習近平の姉らが3・76億元(約71億5000万円)を不正審財したと報じた。

 いずれも情報を流したのは上海閥周永康筋ではないかと噂されている。
 習近平姉弟はみな資産家であり、とりわけ姉夫婦の不動産事業で成功した 家貴と結婚後、数多くの事業を手がけてきた。その娘も投資家として一族の資産管理を手がけている。

 しかし、今の人民解放軍が戦争に勝てるとは限られない。戦争が、中国共産党にとってよい結果をもたらさない可能性も高い。にもかかわらず、武力衝突を辞さない強面外交を押し通す習近平を、指導者に選んだ事自体が間違いだったのだ。
 中国共産党には、権力を個人に集中させ、恣意的な支配を許してしまう組織的な体質がある。習近平のような独裁者を生んでしまうことこそ、党の弱点である。
 改革開放政策の毒が回ったということもできる。改革開放路線で腐敗しきった党内では、指導者を選ぶ基準が、政治実績ではなく、個人的な賄賂による猟官/売管になってしまったのである。外交力や経済政策の実力を欠いた人物が、党を背景に欲しいままの権力をふるう。腐敗の中から生まれた政権が、その事実を隠すため「反腐敗」と言いつつ権力闘争に邁進する姿を、人民は見逃さない。

「モラルなき拝金主義」になった中国人は、自分を律するイデオロギーを喪失し、「儲かれば何をしてもかまわない」「エコノミック・アニマル」と化しました。

 当然ながら、中国の刑法でも、窃盗、詐欺、強盗には刑事罰が科されます。しかし犯罪を取り締まるはずの中国警察も「モラルなき拝金主義者」の仲間になっているため、賄賂を受け取る金額が多い事件しか捜査し傾向が強まり、犯罪が野放しになっています。

中華人民共和国はどこに向かうのか

 最後に、習政権下の中華人民共和国の行く先を予想してみたいと思います。
 資本主義経済の国なら、すでに経済的に崩壊し、政権は終わっているはずです。民主主義国なら他の政党に政権交代しているでしょうし、独裁国家なら指導者はその座を追われているでしょう。普通の国なら、地方債がいくつもデフォルトしているのに、国家が何の補填も補償もせず、放置することもあり得ません。毎年数兆円規模の金額が贈収賄で消えてしまい、海外に流出して運用されているのも、通常なGDPの計算をやり直すような事態です。しかし中国は「社会主義市場経済」ですから、共産党がすべてを操作して隠蔽し、やりすごしてしまうのです。

経済崩壊と人民反乱
テロによる習近平その他要人の暗殺
 反乱から体制転覆までたどり着くのは難しいでしょうが、要人殺害のテロなら、起こる可能性はかなり高くなります。