ふくらはぎは「第2の心臓」

 血液の循環と心臓について、もう少し詳しく見ていきましょう。心臓から最も遠い足の下におりていった血液が再び心臓に戻るには、ふくあらはぎの筋肉がしっかりと収縮・弛緩して、力強いポンプの役割を果たすことが重要なポイントになります。

 動脈に比べて圧力が低い静脈には、体を循環している血液の半分くらいがたまっているといわれています。心臓のポンプ作用だけでこの血液を循環させようとすると、心臓には非常に大きな負担がかかり、健康にも悪影響が及びます。

 まず挙げられるのが、高血圧です。

 心筋のポンプ作用によって血液は全身に送られるわけですが、その際にかかる圧力が血圧です。高血圧の原因にはさまざまありますが、末梢に血液不全があれば、強い圧力をかけなければ血液がよく流れません。そのため、血圧が上がるのです。

 そして、心筋が正常に働くためには、血液や酸素が必要です。心臓が血液や酸素の不足に陥ることで、全身の循環不全が引き起こされた状態が心不全です。

 心不全、心臓のポンプ機能が必要としている血液をじゅうぶんに提供できなくなった状態のことをいいます。この状態が急激に起こる場合を急性心不全、心臓機能が徐々に低下していく場合を慢性心不全といいます。
心不全の自覚症状としては動悸、息切れやむくみなどが挙げられ、場合によっては生命にかかわることもある症状です。

 心臓のポンプ機能はまさに生命活動の基本であり、根幹をなくしています。そして、その心臓をサポートし、心臓の負担を軽くするのが、第2の心臓であるふくらはぎなのです。

 ふくらはぎのむくみから見えるさまざまな病気

「水」の循環についてです。東洋医学でいうところの「水」とは、リンパをはじめとした血液以外の体液を指します。別名を津液ともいい、内臓はもちろん、皮膚や粘膜に潤いを与えています。

 リンパは血液中や細胞内から老廃物や水分を回収して体外へ排出する働きがあり、体内の浄化や循環に非常に大きな影響を与えています。
 血液における心臓のような、体じゅうに力強く送り出すためのポンプがリンパにありません。リンパは筋肉の作用のみで流れているのです。
 下半身に現れるむくみには下記のようなものがあります。特に以下の2つは非常に重篤な状態です。

 心不全 
先ほどもお伝えしたように、心臓のポンプ機能が低下してしまい、臓器に血液や酸素が行き渡らない状態です。心不全によって起こるむくみは、下半身の場合は両足に現れ、痛みはありません。
            腎不全

 腎臓の機能が低下して正常に働けなくなった状態です。腎臓にはさまざまな働きがありますが、いちばん主な働きは「尿を作ること」。血液をろ過し、不要な老廃物を尿として体外に排出するのです。腎臓の働きが落ちれば尿が排出されませんから、体内にさまざまな老廃物がたまり、むくんでいきます。腎不全によって起こるむくみも両足に現れ、こちらも心不全同様、痛みはありません。

 脊髄などの神経の病気から起こることもありますが、足の動脈が狭くなったり閉塞したりすることによる足の血行障害からも起こります。
          血栓性静脈炎

 静脈の中に血の固まりができて、周囲の血管が炎症を起こしたものです。炎症がひどくなると、腫れがふくらはぎの筋肉にも及び、痛みや熱が出て静脈が膨れてきます。この静脈炎も、片足のみに現れることが多い症状です。飛行機で長時間外国旅行するときにみられるエコノミークラス症候群も、広い意味でこの症状に含まれます。

         筋ジストロフィー

 筋ジストロフィーは、筋肉自体になんらかの異常が存在し、筋肉組織が破壊されて萎縮し、筋力が低下していく進行性の疾患の総称です。この筋ジストロフィーの初期症状として、腓腹筋が肥大し、ふくらはぎが大きくなるという症状があります。

冷え性

体内の滞りを解消して万病の元「冷え」を撃退

 人間には体温を一定に保つ機能が備わっています。ところが、血液が悪くなると毛細血管まで酸素や栄養分が行き渡らなくなって、いわゆる冷えた状態となります。手足が氷のように冷えるほか、肌荒れやくすみ、頻尿(トイレが近くなる)、膀胱炎、便秘や下痢、腰痛、頭痛なども、冷え症の一環として現れたり、冷えが原因で起こったりすると考えられます。冷えは、ありとあらゆる不調の元なのです。 ☆三陰交にEg入れる
             便秘

  きちんと食べて消化し、出すという体内の
サイクルを整える

 多くの女性が悩む便秘。加齢で腸の機能が衰えた高齢者にもよく現れる症状です。また、排便の間隔が定期的であっても、残便感や腹部の張りがある場合は便秘と考えられます。体内の毒素や老廃物をため込んでしまい、さまざまな不調の原因になります。

 ☆足の三里にEg入れる

 過去の体験や感情の積み重ねが表れるふくらはぎと太もも

 次に、ふくらはぎには、その人の性格や考え方の基本が表れます。この部分は、こどものころの感情的な体験や、それに基づく性格が反映します。

 たとえば、子どものころ母親に甘やかされて育った人。右足のふくらはぎが、左足に比べると妙にフニャフニャしていたり、張りがなかったりします。性格的には自主性に乏しく依存心が強い傾向が見られます。反対に、父親が厳格だったり家庭に無関心だったりした人。こうした人は、左足のふくらはぎがほかに比べると硬かったり、芯やこりがあったりします。性格的には、長じてからは自己中心的でわがままになったり、自分にも他人にも厳しくなったりする可能性があります。

   ふくらはぎを刺激するとやる気も起こる
 また、基本的に左足は過去、右足は未来を表します。左右の足で、触り心地や足のクセなど、いろいろ無さがある人がいます。たとえば、特にバランス感覚には異常がないにもかかわらず右の足首をねんざしやすいなど。