あなたは何も知らずに食べますか

 2倍の速度で成長させる「フランケン・フィッシュ」と、毛が生えない「ヌード・チキン」

 食品を作る技術は、すさまじい進歩を遂げている。もはや「工業製品」とでも言うべき食べものが次々と登場しているのだ。美味しくて安いならいいと思うか、気持ち悪いと思うかは、あなた次第。

 遺伝子組み換え生物を作ることに反対している米国の作家、ポール・グリーンバーグ氏はこんな点に不安を抱いているという。「ここでアメリカが認可してしまうと、中国などがさまざまな動物で技術を応用し始めるでしょう。それに、遺伝子組み換え食品は、現状アメリカでは表示義務がない。私たちは、知らない間に、フランケン・フードを口にしてしまうことになるのです」。

 サーモンだけでなく、2倍のスピードで成長するマグロや鯛、牛や豚…そんな本物と似て非なる人工的な魚介や肉が、近い将来、知らないうちに食卓に並ぶようになるのは、もはや止められない。安さを求める消費者がいる限り、より安く食品を作るために、こうした技術も日々開発されている。

       深海魚の遺伝子をトマトに

 植物と動物の遺伝子を掛け合わせた人工食品もある。「アメリカで開発された、寒さに強くて冬でもかれないトマトです。これは、南極の氷の下でも血が凍らない、オヒョウというカレイ科の遺伝子に目をつけたもの。

この魚には血液を凍らせない酵素を作り出す遺伝子があって、寒さに強い新種ができる。本来、夏に実をつけたら秋には枯れてしまうのが、冬にも収穫できるようになるのです。技術的には、このような「人工食品」を作ることも可能になっているのです」。

 遺伝子を操作することで生産効率を上げる技術は、すでに日本ではこんなところに使われている。

「醤油や味噌、納豆、日本酒、かつお節など、日本の文化である発酵食品には、麹菌、納豆菌、酵母菌などの菌が欠かせません。ですが、これらの食品で、天然菌が使われていることはほとんどない。その多くは種菌メーカーが製造した「人工培養菌」で作られています。
 たしかに味にムラが出ず、生産のスピードを上げるのには適しているのかもしれませんが、化学物質過敏症の人の中には、これらの菌で作られた発酵食品で頭痛やめまいなどを起こす人もいます。また、目的にあった菌を作りだすために、菌を放射線や化学物質などで遺伝子操作し、薬剤などを使った培養液で作られた『遺伝子操作菌』を使っているところもあります」。

 「コク」や「深み」も自由自在
 添加物が進化したことによって、「人工食品」は飛躍的に幅が広がっている。たとえば食べものの「コク」。シチューやカレーなどは、火を通して寝かせるほど、食材からうま味が染み出して複雑な味に仕上がるものだが、時間をかけてしか出せなかったこの「コク」も、あるクスリを入れることで一瞬にして演出できるようになっているという。
ピラジンという合成化合物です。本来は煮込むことで自然に生成されるものなのですが、これも人工的に作れるようになっています。あっという間に味にコクと深みが出ますし、素材が煮崩れすることもないので仕上がりも美しい。光熱費や人件費の削減にもなります。
「天ぷらは、揚げる油が古くなると黒くなってきます。ところが、売られているものはみんな衣の色が同じ。これは、油をこまめに替えているからではありません・衣に合成着色料のβカロテンを混ぜることで、黒い油を使っても衣の色を綺麗な黄色に保つことができるんです」。「本物を超える」味を作る。
     ☆従って今こそマグマゼロです