3Dプリンターがアメリカを救う

 1台の機械で大量生産ができれば海外の生産拠点も輸送も不要。国際的な力関係や地球温暖化にも影響が。

 中国やバングラデシュから製造業の雇用を取り戻せ―。米大統領選の候補者たちは盛んにわめいているが、ベンチャー企業3Dハブズの予測どおりなら、政治の出番はなさそうだ。彼らが言うには、技術の進歩が必然的にアメリカの製造業を復活させる。

アメリカのメーカーが製造拠点を国外に移す経営上のメリットは今後10年以内に消滅。巨大工場という構想そのものが時代遅れになる。

大半の製品が消費地で、それも地域のミニ工場で生産され、消費者は商品を直接受け取りに行くか、ドローンで配達してもらえるようになる。

「そうなれば1ヵ所の拠点に1000台の機械を備えるよりも、1000ヵ所の拠点に1台ずつ置くほうが賢い」と、3Dハブズの共同創業者ブラム・デズウォートは言う。

 言い換えれば、「分散型製造方式」だ。これは昨年の世界経済フォーラムで、最も注目すべき技術動向の1つに選定されたアイデア。普及すれば雇用ばかりか、国際政治や気候変動にも大きな影響を及ぼす。カスタムメイドも自在になる。