よみがえる千島学説?

忰山 紀一氏
 千島の新説のどれひとつをとりあげても、ノーベル賞に値する研究であったと私は信じている。たとえば、血液は肉体である細胞に変わるという説「赤血球分化説」ひとつをとりあげても、世界の生物学の教科書を全面的に書き直さなければならない、驚くべき発見だったのである。
 千島の「細胞は分裂によって増えるのではなく、体のなかを流れる赤血球が日々細胞に変化し、この肉体をかたちづくっていく」という新説は、医学の根本を変え、私たちの健康にかかわる大問題なのだ。
       赤血球に核がないのは何故か
 千島は実験と、その結果による考察から、血液の神秘を解き明かした。その新血液理論をまとめておこう。
?消化された食べ物が赤血球になる
?赤血球は腸で造られる
?血管は閉鎖系であり、赤血球が組織にとび出しているのは炎症など病的な場合であるというのは間違いだ
?毛細血管の先端は開いていて、赤血球は組織と組織の間に入り込む
?健康で栄養状態のよいとき、赤血球はすべて細胞に変化する
?からだが病気の方向にむかっているとき、赤血球やがん細胞や炎症細胞など病巣の細胞に変化する
?断食や節食や大量の出血後、あるいは病気のとき、すべての組織細胞は赤血球に逆戻りする
?負傷などでからだの破損したところを再生するのも、赤血球が組織に変化するからである。
 以上のことをひらたく言えば、食べたものが血となり、肉となるということであろう。