アレルギー医療革命?

NHKスペシャ
フーチ  75%
先進国はアレルギーパンデミック
 春が近づくと、花粉症対策の白いマスク姿の人々で町中が溢れかえる様子も、今ではすっかり日本の風物詩となっている。今や花粉症は日本国民の4人に1人が発症していると言われる。スギやヒノキ、ブタクサなど、様々な植物の花粉が原因だ。さらにダニやハウスダストが原因のアレルギー性鼻炎。牛乳や卵、魚や果物に対する食物アレルギー、金属や化学薬品、化粧品のアレルギーなど、私たちの身の回りにあるものは、ほぼすべてがアレルギーの原因物質、アレルゲンになりうると言っても良い。

 アレルギー食品が体内に入ることがアレルギーを発症させる主な原因であり、それを避けることが最も有効な予防法だと考えられてきたのだ。しかし、この“予防策”には、実は明確な科学的根拠が存在しない。

 私たちの体内には、T細胞やマクロファージなど、多くの種類の免疫細胞が存在している。本来、これらの免疫細胞は病気を引き起こすウイルスや細菌、体に害のある異物が体内に入り込んだ際にそれを発見、攻撃して体を守るのが役割だ。

しかしアレルギーになると、免疫は、体に害がない花粉や大切な栄養である食物までも敵だと見張り、攻撃してします。全身で働く無数の免疫細胞がいったん暴走を始めると、それを根本的に正すのは難しい。それゆえアレルギーを治すのはほぼ不可能だと考えられてきた。 予防のためにはアレルゲンを避けるのは間違いだった。