心を生みだす脳のシステム?

終わり
茂木 健一郎氏
 情報処理の「ハブ」としてのミラーニューロン
 視覚と運動、自己と他者、空間知覚、ボディ・イメージ(身体感覚)―。これらの全てに、そしておそらくその他のさまざまな機能に関わっているであろうミラーニューロンは、まさに脳の情報処理における「ハブ」(中軸)と言ってもいい存在である。

 もちろん、ミラーニューロンという単独のニューロンが、私たちの意識を支えているというわけではない。ミラーニューロンも、運動前野から取り出してペトリ皿の上に置けば、なんの変哲もないただのニューロンである。

ミラーニューロンが脳というシステムの中で特別な役割を果たしているとすれば、その特別な役割を与えているのは、ミラーニューロンを取り囲む脳の中のニューロンの関係性である。この「関係性」こそが、私たちの心を生み出す上でも重要な役割を果たしている。