インターネットは自由を奪う
アンドリュー・キーン氏
グーグルやアマゾン、フェイスブックなどのIT企業により、生活は便利で快適になった。その一方で、既存産業の破壊、顧客トラブル、個人情報流出などの問題も多発している。ユーザーはサービスの代価としてそれらの問題を受け入れるしかないのか。一握りの企業が主導する流れは不可避なのか。
一パーセント経済。あり余るほどの愚かさ。上位一パーセントによる支配。
インターネットを万能の解決策であるかのようにとらえる現代人のものの見方について警鐘を鳴らす。解決策になるどころか、インターネット経済にも文化にも社会にも悪影響をおよぼしていると彼はいう。
あらゆる人びとを解放し、啓発し、それぞれの能力の発揮を助けてくれるテクノロジーであるはずのインターネットが、巨大企業による市場独占、雇用喪失や、格差拡大や、音楽・映像・情報メディア産業の衰退を招いている。また、自撮りに代表される自己愛文化を生みだしてもいる。
インターネットによって富や権力が再分配され、多くの社会問題が解決し、自律分散化された平等な社会が来ると思われた。だが、実際には逆であり、経済・文化格差はかつてないほど広がっており、(現在の)インターネットは問題を解決するどころか、助長している。