フェイスブック革命に怯える

中国「インターネット検閲」の戦慄

 チュニジアに続いてエジプトでも瞬く間に独裁政権が崩壊した。“フェイスブック革命”の伝播力は驚異的だ。民主化のうねりは燎原の火のごとく中東全域に広がっている。こうした動きを「対岸の火事」と看過できない中国では、共産党一党独裁を死守するため、すさまじい「ネット検閲」が横行し始めた。

サイト開設には事前審査が必要

「中国最大の検索エンジン百度』が検閲の中心的役割を担うようになってきた」
と告発した。
 また、前述のウィキリークス情報には、
公安警察のドン=周永康百度と結託してグーグル攻撃を行った》

ネット軍を使いサイバー戦強化 

中国はこうした国民へのネット検閲だけでなく、他国に対するサイバー線能力の強化も進めている。
 その主力は人民解放軍総参謀部第3部。軍が次世代の主力部隊のひとつと位置付けている「網軍(ネット軍)」を統制している。

 99年に創設されたネット軍は、大コンピューター部隊を1カ所に配置するわけではなく、中国各地の基地や研究機関などに分散した多数の技術者たちをネットワークし、数万人規模で編成されている、と推定される。

 軍は昨年7月、総参謀部直属の「情報保障基地」を北京に設置したことを公表しているが、ここがネット軍の司令部となっていると見られている。

 米民間調査機関「メディアス・リサーチ」の昨年7月の調査報告によると、それ以前の数カ月間に米国や台湾などいくつかの国の政府・軍の施設や民間企業に対して行われたハッキングの発信源の一つが、中国の海南島の軍事施設だったという。これもネット軍の一部隊と考えられている。

クリントン国務長官は2月15日、ワシントンで演説し、インターネットへの規制を続ける中国などを名指しで批判し、中国がネット検閲して「特性語句の検索をエラーページに誘導している」とも指摘した。
 「ネットの自由をふさぐ政府は、いずれ自らが箱の中に閉じこめられることに気づくだろう」