2015年暴走する世界経済と

日本の命運?
三橋 貴明氏
フーチ 80%
   余計なことをしなければ日本は成長する
 つまるところ、日本政府が賃金主導型の成長をめざしたいならば、何もせず、放っておくだけでかまわないのである。なにしろ、生産年齢人口比率の低下は構造的な話だ。細かい話をすると、たとえば、公共事業、医療費、介護費など、政府支出が大きい産業分野においては、労務費や診療報酬、介護報酬などの引き上げは必要だ。
 とはいえ、基本的には人手不足を放置しておけば、市場原理により実質賃金は上昇する。日本は、政府が労働規制の緩和や外国移民の受け入れなどの余計なことをしなければ、必然的に実質賃金が上昇し、貸金主導型の経済成長を達成できる可能性があるのである。

 国民、とくに若い世代の雇用が安定し、実質賃金が堅調に上昇していけば、やがては少子化問題も解決する。現在の日本の少子化の主因は、結婚した夫婦の出産が減っていることではない。夫婦1組から生まれる子供の数は、じつはわずかながら増加している。
 日本の少子化の主因は、婚姻そのものが減少していることだ。婚姻率が劇的に低下した結果、女性の出産も減っているというのが真実なのである。