だから、これまでの健康・医学常識を

疑え!? 終わり
和田 秀樹氏
フーチ 90%
   感情の老化を招く四つの要因と対処法
 感情が老化する要因は四つあります。
一つ目は、脳の前頭葉の萎縮です。前頭葉は意欲を司る部分ですが、歳を取ればとるほど前頭葉が萎縮し、意欲が衰えてきます。
 二つ目は、脳の動脈硬化です。歳を取って動脈硬化が進んでくると、それに伴って自発性が低下して意欲が落ちてきます。
 三つ目は、歳を取るとセロトニンなどの神経伝達物質が減ってくることです。神経伝達物質が減ると、意欲低下が起こったり、うつ状態になったりします。
 四つ目は、男性に限ったことですが、歳を取ると男性ホルモンが減ってきます。


老年医学会の専門医がいない県ほど、
高齢者が長生きしている

 長野県の諏訪中央病院のように高齢者医療では全国トップレベルの病院で研修を受けても、同病院は指導医を置いていませんので老年医学会の専門医にはなれません。同病院だけでなく、長野県には指導医を置いている病院が少ないため、県内にほとんど老年医学会の専門医がいません。

 その長野県が全国の平均寿命が男女とも一位です。一人当たりの老人医療費も日本一安いのも特徴です。
データを調べてみると、老年医学会の専門医が少ない県ほど平均寿命が長く、老年医療費も安いという逆相関が生じているくらいです。要するに、老年医学会の専門医は高齢者医療にほとんど貢献できていないということです。

 その理由は、老年医学会がつい最近まで薬漬けの医療の研究を中心にしてきたからだと思います。老年医学会の専門医が少ない県のほうがむしろ、高齢者にあれこれ処方しないほうがいいと考える先生が多いので、それが幸いして高齢者の寿命を延ばしてきたと思われます。老年医学会の専門医制度は、腕の良い臨床医を専門医として認定する制度ではないため、皮肉なことに、専門医の少ない県のほうがかえって高齢者が長生きするという逆転現象が起こっているのです。