ソマチット 不死の生命体?

                福村 一郎氏
       殻の形成という特殊能力
 さまざまな観察から、ソマチッドが、高熱下や水中をはじめとする、いかなる厳しい環境であろうと生き延びてきた、特別なテクニックがあることがわかってきた。それは、環境に応じて、自分を保護する殻を作ることができるという特殊能力である。その殻は、形態、強弱は多種多様であるが、殻の形成に要する時間はわずかで、まさに瞬時に殻が形成される。この殻については、二種類に大別することができる。
第一の種類は、隕石と共に、太陽から分かれて地球まで運ばれ、高温高圧下でソマチットの本体を保護した恒久形のバリヤーである。これは現在でも、化石の中とか溶岩の中に見出すことができ、完全な球形で、銀色に輝く、非常に美しいものである。大きさはおおむね二ミクロンぐらいで、四百倍以上の解像度の位相差顕微鏡であれば、簡単に見ることができる。
 もう一種は、ソマチットが、その場の環境が自らに悪影響を及ぼしたり、活動不能であると判断した場合に形成する殻である。動物の体内においても、自然界のあらゆる場所においても、環境の変化に即応して、この殻形成が行われる。殻の形は一定ではなく、また殻を形成した後でも、形状が変化することがある。
        ソマチットの大きさ
 顕微鏡でソマチットの観察を行うと、通常、赤血球(八ミクロン)の四十分の一の大きさに見えるため、最大の大きさは二百ナノ(ナノとは、基礎となる単位メートルの十億分の一の量)ぐらいであろうと、これまで考えられてきた。ところが、その後の観察によって、ソマチットが他の物質に入り込んで動きが止まっている場合は、最大での五十ナノくらいに見えることから、実際のところ最大が五十ナノ、最小が○・五ナノぐらいと考えられる。